YouGovが7月9日、米国のオンライン情報探索に関する調査レポート「How AI is Changing Online Discovery in 2026」の結果を公開した。過去30日間に従来型の検索エンジンを使った人が86%に対し、AIアシスタントは25%。さらにAIの回答を信頼する人は28%にとどまり、検索エンジンの70%と大きな開きがある。AI検索は利用者の間では習慣化が進む(58%が1年前より増加)一方、社会全体ではまだ「検証しながら使う補助ツール」の位置にある。
調査は2026年4月21日〜5月29日、米国の成人1,494人を対象に実施された(レポート全体では19市場をカバー)。米国人の54%は毎日オンラインで情報を探し、Gen Zの32%、ミレニアルの33%は1日6回以上検索する。起点は依然として検索エンジンで、具体的な質問、商品リサーチ、ローカル検索、トラブルシューティングのいずれでも、最初に開く場所は検索エンジンが最多。AIアシスタントが起点になるのは「直接の答えが欲しい」場面で、それでも16%にとどまる。AIを使う理由の上位は、直接の答えを得る(63%)、情報の検証(37%)、要約(31%)、選択肢の比較(29%)、トラブルシューティング(24%)だ。
一方で、すでに使っている層の中では習慣化がはっきり進んでいる。AI検索利用者の58%が「1年前より使う回数が増えた」と答え、「減った」は12%。オンライン検索者の15%は1日1回以上AIアシスタントを使う「高頻度AI検索層」で、この層は男性(56%)、ミレニアル(36%)、フルタイム勤務(54%)に偏り、54%が今後さらに利用を増やすと見込む。YouGovのマーク・ファンティーノ氏は「AIは検索のあり方を変えているが、検索エンジンを置き換えてはいない。人々はAIが最も価値を出す場面——即答、要約、比較——で使い、見つけたものの検証には従来の検索エンジンと公式ソースを使い続けている」と総括している。
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ここで重要なのは、この数字を「自分の体感」と突き合わせたときのギャップだ。筆者自身、Web検索はもうずいぶんしなくなったという感覚がある。おそらく本メディアの読者の多くも同じだろう。だがこの調査に照らせば、その体感を持つのは1日1回以上AIを使う15%の先端セグメント——男性・ミレニアル・フルタイム勤務に偏る、まさにマーケター/AIヘビーユーザーの属性そのもの——であって、消費者全体の実態ではない。世の中の86%は依然として検索エンジンを使い、信頼では70%対28%の大差がある。「検索はもう死んだ」「SEOからAEOへ全面シフト」といった戦略を、自分の利用感覚の延長で設計してしまうことこそが落とし穴だ。自分がターゲット顧客の代表サンプルではないことを、これほど明確に示すデータはない。
もう一つ見ておきたいのは、AIが検索を「置き換える」のではなく「検索ジャーニーの一部」として組み込まれている点だ。AI利用者の37%は情報の検証のためにAIを使い、逆にAIの答えはソースリンクや公式サイトで確かめられている。つまりAI経由の発見が増えるほど、確認先としての公式サイト・一次情報の整備が効く。AEO対策と、従来SEOやオウンドメディアの一次情報整備は、二者択一ではなく補完関係にある。
今後の論点は、28%という信頼がどの速度で上がるか、そして自社の顧客ベースの中で高頻度AI検索層が何%を占めるかを、感覚ではなくデータで把握できるかだ。習慣化の数字(利用者の58%が増加、35%が今後も増やす)を見る限りシフト自体は不可逆だが、進み方は世代とセグメント単位で不均一に進む。戦略の切り替えは「市場平均」ではなく「自社顧客の分布」に合わせて行う——当たり前のようで、AIに深く浸かった実務者ほど難しい規律である。
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参考リンク
YouGov プレスリリース(Marketing Dive掲載): https://www.marketingdive.com/press-release/20260709-searching-for-answers-ai-changes-how-americans-find-information-but-trust/
YouGov レポート「Searching for answers: How AI is changing online discovery in 2026」: https://yougov.com/en-us/reports/55071-us-websearch-ai-report-2026
